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「海の日」制定記念に寄せられたメッセージ

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アメリカ合衆国
ウィリアム・J・クリントン大統領

 

日本国民の皆様が「海の日」を祝うことに対し、心からのご挨拶をお送り由し上げます。
私が最近貴国を訪問した際、橋本首相と私は日本とアメリカの緊密なパートナーシップと、両国が共有している多くの重要な関心事(地球の環境保護特に世界の大洋の保護に対する深い懸念)を再確認しました。従いまして、アメリカ国民は、私たちが世界の大洋とその資源を保護し、保存することが将来にとって大変に重要であることを強調する国民の祝日を日本の皆様が祝われることを、心から祝福するものであります。
日本とアメリカは、魚類やサンゴといった貴重な海の財産を保護するために、すでに多くの協力をしてきました。今回、海洋保護の精神が再確認されたことで、海の哺乳動物を保護し、大洋の汚染を防ぐために一層懸命な努力をしなければならないという気持ちになります。
私はこうした挑戦について日本の皆様と協力できることを楽しみにしています。また、すべてのアメリカ合衆国国民に代わって、意義ある「海の日」を祝う日本の皆様に心からのご挨拶を送るものであります。

 

このように海との関わりの深い我が国が、海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日として、世界に先駆けて「海の日」を祝日とした意義は誠に大きいと考えております。
制定後初めての「海の日」に当たり、国民一人一人が、この地球上に初めて生命体を生んだ海、これまで計り知れない恩恵を与えてくれた海の重要性に思いを致し、海洋環境の保全を始めとして、この海を守っていく決意を新たにしていただきたいと思います。「海の日」のスローガンにあるとおり、「海へ帰ろう」であります。
海は、かつては世界を隔て、遠ざけるものでもありました。しかし、幕末の林子平が隅田川の水はロンドンのテムズ川の水に通ずると言ったといわれているように、今や、海を通じて世界の国々は深く繋がっております。本年は、我が国が海洋法条約を批准した記念すべき年でもあります。海洋国日本として、新たな海洋秩序のもとで、世界の平和と繁栄、海洋環境の保全に積極的に貢献していくことを改めて誓うものであります。
平成八年七月二十日
内閣総理大臣橋本竜太郎

 

 

 

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